職業病により退職した私は、かねてからの憧れであったヨーロッパへ旅行することにしました。
しかし、全くの一人旅をするまでの度胸はなく、ツアーに申し込むことにしました。

一度は見てみたいと思っていたドイツ・ノイシュバンシュタイン城、フランス・ベルサイユ宮殿、
その2か所が含まれたツアーがドイツ、スイス、フランスを巡るツアーでした。
スイスにはこれといった知識も興味もなかったのですが、私の希望のツアーがこれしかなかったので申し込むことにしました。
まさか、人生で一番と言っても過言ではない景色を見ることになるとは夢にも思っていませんでした。

ドイツで2泊し、念願だったノイシュバンシュタイン城も観光することが出来、大満足のままスイスへ、ユングフラウヨッホ鉄道に乗り込みました。
周囲は同じような観光客や、スキー、スノーボードを楽しみに来た旅行客でいっぱいでした。
私は鉄道や景色を楽しむことよりも、高山病にならないか、そればかり心配していました。
同じツアーに参加者は全員新婚カップルで1人参加はもちろん私のみ、体調を崩しても誰にも頼れないばかりか、
ハネムーンを楽しんでいる方々に迷惑をかけることになってしまいます。チョコを食べ、水分を摂り、必死でした。

そして辿り着いた終点のユングフラウヨッホ駅、案内されるがままエレベータに乗り込み、
ドアが開いた先には…一面白銀の世界、見渡す限りの雪景色が広がっていました。
風はなく、太陽の光が差し込むことで辺りはキラキラと光り輝いていました。
添乗員の方の話によると、2月の時期は吹雪であることも多く、こんな綺麗な景色が見れることは稀であり、先週来た際にも何も見えなかったとのことでした。

気温ー10℃の中、寒さも時間も忘れ、ただただ目の前の景色に見入っていました。
気付くと私の眼は潤んでいました。まさか景色を見て涙することになるなんて自分でも驚きました。
当初は何の期待もしていなかったスイスで、こんなにも心動かされる景色に出会うとは、これだから旅は楽しく面白く、やめられません。